ファクタリングの手数料に利息制限法・出資法はかかるか|年20%・109.5%の意味と「貸付け」とされた裁判例

※この記事にはアフィリエイト広告(成果報酬型広告)を含む場合があります。確認日:2026年10月27日

結論

原則:手数料は利息ではない

金融庁は、ファクタリングを「売掛債権等を期日前に一定の手数料で買い取るサービス」と説明し、法的には債権の売買(債権譲渡)としています。お金を貸して返してもらう契約(金銭消費貸借)ではないため、手数料は利息制限法や出資法の「利息」には当たりません。

売掛先が倒産して払えなくなったとき、そのリスクを負うのは債権を買ったファクタリング会社です。この「回収できないリスクが買主に移る」点が、売買と貸付けを分ける中心になります。仕組みの基本はファクタリングの仕組みで説明しています。

例外:実態が貸付けなら貸金業の規制

金融庁は、ファクタリングをうたいながら実態は貸付けである取引(いわゆる偽装ファクタリング)に注意を呼びかけています。挙げられている特徴は次の4つです。

  1. 債権の買取代金が著しく低い
  2. 売主(利用者)が債権を買い戻す
  3. 売掛先からではなく、売主自身の資金で支払う
  4. 売主が回収を委託され、集金できないときは売主が負担する

金融庁は、契約書に「ノンリコース(償還請求権なし)」と書いてあるかどうかだけでなく、経済的な側面と実態で判断するとしています。貸付けと判断されれば、無登録の業者は貸金業法違反となり、利率は利息制限法・出資法の上限で見られます。見分け方は偽装ファクタリングの見分け方、償還請求権は償還請求権を読んでください。

条文の数字

法律数字意味
利息制限法1条元本10万円未満 年20%
10万円以上100万円未満 年18%
100万円以上 年15%
金銭消費貸借の利息の上限。超えた部分は無効
出資法5条1項年109.5%金銭の貸付けで、これを超える利息の契約をすると刑事罰(5年以下の拘禁刑・1千万円以下の罰金)
出資法5条2項年20%業として貸し付ける場合は、年20%を超える利息の契約で同じ刑事罰
貸金業者の契約(金融庁ページ)年109.5%109.5%を超える利息の契約は、消費貸借契約自体が無効

つまり、貸金業として貸し付ける場合、年20%を超えれば刑事罰の対象になり、民事上も利息制限法の15〜20%を超える部分は無効です。「出資法の上限は109.5%」は、業としてではない貸付けの刑事罰の線と、貸金業者の契約が丸ごと無効になる線の数字です。

ファクタリングの手数料を年率に置き換えると

手数料率×365÷日数で年率に置き換えた目安を出すと、次のようになります(手元で計算した値)。

手数料率30日45日60日90日
2%24.33%16.22%12.17%8.11%
8%97.33%64.89%48.67%32.44%
10%121.67%81.11%60.83%40.56%

正当な債権の売買なら、年率に置き換えて20%や109.5%を超えても、利息制限法・出資法の問題にはなりません。この数字は、融資や他社と比べるための目安です。反対に、実態が貸付けと判断されれば、実際の交付額・元本、みなし利息、期間等を踏まえた法定の計算が別途必要です。この単純換算値をそのまま法定上限と比べることはできません。年率の数字の高さそのものではなく、契約の中身(買戻し・売主負担の有無)が分かれ目です。

上位の記事には「年率=手数料÷2か月×12」と期間を固定するものがありますが、8%なら一律48%となり、30日の97.33%や90日の32.44%とずれます。日数を入れて計算するにはファクタリング手数料の年率計算ツールを使ってください。

金融庁が紹介する裁判例7件

金融庁のページは、ファクタリングをうたう取引が貸付けに当たるかが争われた裁判例を紹介しています。日付順・結論別に並べます。結論の表現は金融庁のページによります。

裁判所・日付結論
大阪地裁 平成29年3月3日金銭消費貸借契約に準じる(該当)
東京地裁 令和2年9月18日債権の売買(該当しない)
東京高裁 令和3年7月1日貸付けに当たる(該当)
名古屋地裁 令和3年7月16日貸付けに当たる(該当)
東京地裁 令和4年3月4日金銭消費貸借契約に該当(該当)
東京高裁 令和4年6月15日債権の確定的な売買(該当しない)
札幌高裁 令和4年7月7日公序良俗に反し無効(該当)

結論が分かれているように、「ファクタリング」という契約の名前で決まるわけではありません。東京高裁令和4年6月15日は「債権の確定的な売買」と判断しており、売買として扱われるかどうかは、上の4つの特徴のような契約の実態で見られます。個々の判決の事情は金融庁が紹介する裁判例7件で整理しています。判決文そのものは裁判所のサイトなどで確かめてください。

給与ファクタリングは貸金業に該当

事業者の売掛金ではなく、労働者の給料(賃金債権)を買い取るとうたう「給与ファクタリング」について、金融庁は、賃金債権を買い取ってその労働者を通じて回収する仕組みは「貸金業に該当します」としています。賃金は使用者から労働者へ直接払うのが原則なので、買い取った業者は結局、労働者本人から回収することになり、実態は貸付けと同じだからです。

金融庁は、無登録の業者が年利に換算して数百〜千数百%に当たる手数料を取るおそれがあると注意しています。最高裁判所も令和5年2月20日の第三小法廷決定(令和4年(あ)第288号)で、形式上は債権譲渡の対価として金銭を渡す取引でも貸付けに当たると判断しています(金融庁ページに抜粋あり)。

事業者向けのファクタリングは、売掛先という第三者から回収する点で給与ファクタリングと違います。ただし、売主自身が支払う仕組みになっていれば、上の4つの特徴に近づきます。詳しくは給与ファクタリングを読んでください。

年率に置き換えた目安の位置づけ

同じ条件で公的な融資と比べる方法はファクタリングと公的な資金繰り支援の比較、各社の公表値はファクタリング手数料の相場を各社の公表値で確認にまとめています。

契約前に確かめること

相談窓口

窓口連絡先
金融庁 金融サービス利用者相談室0570-016811(IP電話からは03-5251-6811)、平日10〜17時
日本貸金業協会0570-051051
警察相談専用電話#9110
消費者ホットライン188

窓口ごとの受付内容は公的な相談窓口にまとめています。契約の効力や返還請求など個別の判断は、弁護士に相談してください。

よくある質問

Q. 年率に置き換えて100%を超える手数料は違法ですか?
A. 債権の売買として行われている限り、年率に置き換えた数字が高いことだけでは違法になりません。手数料は利息ではないからです。ただし、買取代金が著しく低いことは、金融庁が挙げる偽装ファクタリングの特徴の一つです。数字が大きいときは、買戻しや売主負担の条項がないか確かめてください。

Q. 契約書に「償還請求権なし」と書いてあれば安全ですか?
A. それだけでは判断できません。金融庁は、ノンリコースの規定の有無だけでなく、経済的な側面と実態で判断するとしています。売主自身の資金で払う約束や、集金できないときに売主が負担する仕組みがあれば、書面の文言にかかわらず貸付けとされることがあります。

Q. 個人事業主の取引でも同じ考え方ですか?
A. 事業の売掛金を売るなら、法人と同じく債権の売買です。一方、雇われて働く人の給料を売る給与ファクタリングは、金融庁が貸金業に該当するとしています。

Q. すでに払った手数料を取り戻せますか?
A. 契約が貸付けと判断されれば、利息制限法を超える部分の扱いなどが問題になりますが、個別の事情で結論が変わります。契約書と振込の記録を手元にそろえ、弁護士や下の窓口に相談してください。

出典

シロク
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