譲渡制限特約

譲渡制限特約(債権譲渡禁止特約)がある売掛金とファクタリング

取引基本契約や発注書の約款に「本契約上の債権を第三者に譲渡してはならない」という条項がある場合でも、改正民法のもとでは譲渡そのものは無効になりません。ただし、売掛先(債務者)が譲受人への支払を拒める場面が残るため、契約方式の選び方に影響します。

情報の確認日:2026-10-12

2020年4月の民法改正で何が変わったか

法務省によると、民法(債権関係)の改正法は一部の規定を除き2020年(令和2年)4月1日に施行されました。改正前は、譲渡禁止特約のある債権を譲渡しても無効と解されていましたが、改正後の第466条2項は次のように定めています。

「当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。」(民法第466条2項)

法務省の説明資料「債権譲渡に関する見直し」では、従来は譲渡制限特約が中小企業の売掛債権を使った資金調達の支障になっていたこと、改正で特約が付いていても譲渡の効力は妨げられないこととした(預貯金債権は除く)ことが説明されています。

売掛先(債務者)側に残る対抗手段

場面条文の内容(要旨)ファクタリングでの意味
譲受人が特約を知っていた・重大な過失で知らなかった債務者は譲受人への履行を拒み、譲渡人(元の債権者)への弁済などを譲受人に対抗できる(466条3項)売掛先は従来どおり利用企業に支払えば足りる。2社間方式で利用企業が回収金を引き渡す設計と相性がよい
譲受人が相当期間を定めて催告しても債務者が譲渡人に履行しない3項の扱いは適用されない(466条4項)未払が続く場合は譲受人が直接請求できる余地がある
債務者が供託を選ぶ譲渡制限特約付きの金銭債権が譲渡された場合、債務者は供託できる(466条の2)売掛先が支払先に迷う場合の選択肢
譲渡人が破産した譲受人は債務者に供託を請求できる(466条の3)法務省資料でも資金調達の安定性に関わる点として紹介
預貯金債権特約は悪意・重過失の譲受人に対抗できる(466条の5)売掛金とは別扱い

取引打切りや契約違反の心配について

法務省資料は、特約の趣旨が弁済の相手方を固定することにある場合、譲渡は特約違反(債務不履行)にならず、それを理由とする解除は権利濫用に当たりうるという解釈を紹介しています。ただし、これは一般的な解釈の紹介であり、個別の契約で取引先との関係がどうなるかは契約文言と事情によって異なります。特約のある契約で3社間方式(売掛先の承諾を得る方式)を検討する場合は、事前に弁護士へ相談するのが確実です。

将来発生する売掛金も譲渡できる

改正で新設された第466条の6は、譲渡の時点でまだ発生していない債権(将来債権)も譲渡できることを明らかにしました。継続取引の将来の売掛金をまとめて対象にする契約では、債権譲渡登記(登記の手続と費用)と組み合わせて対抗要件を備える設計が一般的です。

申込前に契約書で確認すること

相談先・申込先の選び方

譲渡制限特約がある売掛金を資金化する場合、申込先には「特約付き債権を扱うか」「売掛先への通知が必要になる条件は何か」を書面で確認します。取引先との関係が心配な場合は、契約書を持参して弁護士や商工会議所の専門相談を利用してください。ファクタリング業者の実態に不安がある場合は公的な相談窓口を使えます。

出典(確認日:2026-10-12)

制度・料金は改定されることがあります。申込や契約の前に、各リンク先の最新情報と書面で確認してください。

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